「公共図書館に於けるCD-ROM付き書籍の取り扱い」
まとめ



  このアンケートの結果を見てみると、CD-ROM付き書籍の取り扱いについて、出版社側と
公共図書館側では、その対応にかなりの差が感じられた。
出版社側としてはCD-ROM付き書籍の館外貸出についてはやや消極的であり、館外に貸し
出すのは「絶対に認めない」が31.7%もあるのに対し、図書館側はむしろ、積極的な
館外貸出を行っている。当初懸念したCD-ROMが書籍から取り外されて返却されてきたり
などの保管上の問題も指摘されていたが、それでも各図書館とも独自の方法でこの問題
を解決しているように思えた。ただ、公共図書館の中には、まだ館内でCD-ROMを閲覧
させるハード機器が不十分だったり、プリントアウトサービスの設備が未整備だったり
の状態のところが数多くみられた。従って図書館側としてはせっかく出版されたCD-ROM
付き書籍も不正コピーを恐れるあまりCD-ROMを取り外して館外貸出するより、より活用
をはかるためにCD-ROM付きでそのまま館外貸出しているという声が多くあったのも事実
である。

  CD-ROM付き書籍を出版する側としては、書籍と一体化したCD-ROMだから、おおいに利用
してもらうのが望ましいのだが、ただCD-ROMそのものが、PC1台に1枚のソフト使用を
希望しているところもあり、複数PCでの使用を制限したとするところもありで、CD-ROM
の内容によっては使用条件もまちまちなのもまた事実である。一方、公共図書館の多く
は、著作権の所有者はCD-ROMの制作者または発行者であるという認識は浸透している。
従って、著作権の権利者や発行者側からなんらかの形で許諾ないし拒否の表示が提示さ
れれば、ほとんどの図書館は、これに従ってCD-ROMを取り扱うと予測される。

  そこで今回アンケート調査の最大眼目であるCD-ROMに貸出可のシンボルマークをつけ
ることの賛否について問うたところ、著作権者の意向、出版社側の希望も含めて、出版
社・公共図書館ともそれぞれ90%を超える賛成を得た。しかも統一したシンボルマーク
があればより分かりやすいということも、両者の意見が合致した結果となっている。
たしかに、公共図書館側は、使用範囲を明示したシール等を貼付または印刷することに
より、書籍、雑誌を選択する際の障害はなくなり、出版社にとっては、図書館への販売
促進に寄与するとも思われる。

  このことを踏まえて、日本電子出版協会は早急に(社)日本雑誌協会及び(社)日本書籍
出版協会にこのアンケート結果を提示して具体的なシンボルマーク案の策定に入りたい
所存である。そして出来上がったシンボルマーク案を日本図書館協会に示して協力を
願うべく行動を起すことにする。そして、せっかく出来上がったシンボルマークが有効
に活用されるべく、まず、シールの存在することの情報を周知徹底させることが先決で
あると思われる。

  これにより、これまでまちまちだったCD-ROM付き書籍の公共図書館の利用方法が規格
整備されれば幸甚である。シンボルマークの図案の大きさ、取り付ける場所等について
は後日の検討を待つことにする次第である。


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