出版・電子出版社において編集業務は、その中核的業務の一つであることは言うまでもありません。出版社内において通常使われる編集の語は、必ずしも著作権法上の「編集」と一致するものではなく、それよりも広い意味で使われている場合が多いようです。また、著作権法上の「編集著作(物)(権)」の「編集」とも意義を異にします。
「編集権」は、出版社の言論機関としての地位から生じると考えられるところでありながら、著作権法にその規定はなく法的な意義を実定法上確定することはできません。
著作権法とその周辺にある「編集」「編集著作」「編集権」の意義を探り、出版・電子出版社の法的諸相(そこから見える法的地位)を考察します。
講演資料 JEPA著作権セミナー「出版社の法的地位」
講演映像 https://www.youtube.com/watch?v=QJJKYXFp_z8
講師:松田政行弁護士
1.「編集」の概念
(1) 著作権法上の概念としての「編集」
① 12条(編集著作物)
1項 編集物(データベースを除く)
2項 編集物
編集物概念 素材の選択・配列のある物 + 創作性 → 編集著作物
② 13条(権利の目的とならない著作物)
4号 公共機関の「編集物」
③ 40条(政治上の演説等の利用)
1項 政治上の演説等 同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き……利用することができる。
④ 80条(出版権の内容)
2項 著作者死亡又は、出版行為後3年経過後 全集その他の「編集物」に収録して複製することができる。
⑤ 16条(映画の著作物の著作者)
全体的形成に創作的に寄与した者の行為(映像・音声の「編集」)
※別紙1:著作権法上の「編集」の整理
(2) 出版社における「編集」
(3) 著作権法上の概念としての「編集著作(物)(権)」
(4) 出版社における「編集権」
2. 編集著作物の著作者[著作権判例百選事件抗告審知財高裁決定]解説
※別紙3:著作権判例百選事件
3. 出版社の編集権と著作者の権利[地のさざめごと事件第一審東京地裁判決]
[やっぱりブスが好き事件東京地裁判決]解説
※別紙2:出版社の編集権の法理
■開催概要
日時:2022年11月25日(金)16:00-17:30
料金:どなたでも無料
会場:オンライン Youtube Live(定員ナシ)またはZoom(100名)
主催:日本電子出版協会(JEPA)