インターネットで最新の辞書が無料で閲覧できるようになり、特に若い世代で紙の辞書離れが進んでいる。今や、電子媒体での提供を考慮せずには、辞書の編集はできない時代となった。その一方、電池もいらず、一覧性に優れるなどの長所から、紙の辞書を愛用する人も多い。「紙の辞書はもういらない」と断言し、一気に電子化を加速すべきか。それとも、なお「紙不要説」には疑問符がつくのか。変革期に際し、「これからの辞書」のあるべき姿を話し合う。
■日時: 2014年7月16日(水) 15:00-17:30(受付開始14:30)
■場所: 飯田橋:研究社英語センター 地図
■料金: 2000円(JEPA会員社は無料)
■主催: 日本電子出版協会(JEPA) プラットフォーム委員会、レファレンス委員会
■講師
●増井 元 氏
1967年東京大学文学部国語国文学科卒業。1971年同大学院を中退し、岩波書店入社。30余年にわたり、『広辞苑』『岩波国語辞典』等の辞典編集にかかわる。2008年退任。、2013年10月、自身の辞書づくりにかかわるエピソードをまとめた著書『辞書の仕事』(岩波新書)を刊行。
●飯間浩明 氏
1967年香川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。同文学研究科博士後期課程単位取得。国語辞典編纂を中心に活動。『三省堂国語辞典』編集委員。著書に、『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波書店)、『辞書を編む』(光文社新書)、『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか』(ディスカヴァー)など。
●永田健児 氏
分厚いレファレンス本が作りたくて就職したら、出社初日に新設された電子出版部門に配属。以降、多数の電子ブック・CD-ROMの企画制作に携わる。2001年に辞書事典のデジタル化を 専業とする株式会社ディジタルアシストを起業。代表取締役。辞書用に策定したLeXML仕様の採用は500タイトルを超え、国際規約IEC62605の土台となった。日本電子出版協会レファレンス委員会委員長。
●まずは自己紹介
・増井氏自己紹介:『広辞苑』の仕事など
・飯間氏自己紹介:『三省堂国語辞典』の仕事など
・永田氏自己紹介:辞書のデジタル化について
・岩波書店『広辞苑』の歴史と特色
・三省堂『三国』の歴史と特色
・ほかの国語辞典の特色と評価
・国語辞書の多様性
テーマ2:国語辞典の見出し語
・収録語数はどれくらいの規模が望ましいか
・辞書に「てへぺろ」は必要か―現代語と新語の採録基準
・百科語をどこまで含めるか―『広辞苑』『大辞林』『大辞泉』
・国語辞典と新語辞典・類語辞典・百科事典
テーマ3:国語辞典の解説本文
・短い解説に需要はあるか―『広辞苑』と『三国』の比較から
・誤用をめぐる議論―「汚名挽回」騒動の顛末
・辞書は規範を決めるのか―規範主義と記述主義
テーマ4:デジタル時代の国語辞典
・1987年 広辞苑 第三版 CD-ROM
・デジタル辞書で何が変わった?
・デジタル辞書で何が変わるべき?
・マルチメディアは必要?
・新しい辞書の引き方
テーマ5:これからの辞書ビジネス
・誰が辞書を作るのか―辞書はプロでなければ作れない?
・誰が辞書を使うのか―デジタル化で辞書は身近になった?
・誰が辞書を支えるのか―無料辞書の功罪
テーマ6:辞書のある生活
・理想的な辞書引きスタイル
・コスト度外視、どんな辞書を作りたい?
・紙の辞書はなくなりますか?
●質疑応答
■参考URL
・「広辞苑」
・「三省堂国語辞典」
・ディジタルアシスト社
・岩波新書「辞書の仕事」
・岩波アクティブ新書「遊ぶ日本語 不思議な日本語」
・光文社新書「辞書を編む」