コロナ禍を経てニューノーマルがはじまった2024年は、大きな社会変動のうねりの年と言われる。2024年7月、日本では20年ぶりに紙幣が刷新され、1万円札は渋沢栄一、5千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎の肖像が採用される。金額の表記はユニバーサルデザインが採用され、従来の「壱万円」は「10000」となる。新札対応の機器導入にかかる費用は、ATMだけで約4,000億円とか。応じて、日本政府も数千億円の補助金や助成金が準備されているようだ。
渋沢栄一は、ご承知のとおり、大蔵省の官僚を経て実業界に転じ、企業や団体を設立・経営。生涯に約500社の企業に関わったとされ、近代における日本経済の発展に貢献した人物。渋沢栄一は、新1万円札の顔として注目を集めているので、たとえば渋沢栄一の写真を出版物やCMに使用したい場合は、ユニフォトプレスでは、使用目的に応じて、故人の遺族や権利を管理する団体等から了承をとっている。
法的には、故人の肖像権、パブリシティ権、著作権の処理は、故人の遺族や権利を管理する団体等からの了承をもとに進められるのが一般的だが、昨今のAI技術の普及は、複雑さが増大し続けている。レンブラントやピカソの作品の特徴を分析し、AIが描いたレンブラントやピカソの新作。手塚治虫の新作漫画を生み出すプロジェクト。2019年末の紅白歌合戦には、美空ひばりの声を機械学習させて、AI技術で復活した美空ひばりが出演し、新曲を披露した。
現法ルールに則した遺族や権利を管理する団体等から了承の有無に関わらず、AIが生み出した故人の作品は、現実には再現への「賞賛」がある一方で、「違和感」や「冒涜」といった賛否両論がネットを騒がす。AIに限らず、革新的な新技術が登場した際に、新しい技術の最先端に規制が追いつかないという事態が生じることは、過去にも多数経験した。
「違和感」や「冒涜」を感じる人は「レギュレーション(regulation)」、つまり、取り締まり、規制、規則、規定、条例、法規が必要と訴え、「賞賛」する人は「ディレギュレーション(deregulation)」、つまり、規制緩和、規制撤廃、自由化を訴える。
一般にディレギュレーションは、市場の自由競争が促進され、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性が高いと言われ、読者にとっては選択肢が増えるというメリットがあるが、一方で競争が激化し、市場が不安定になり、市場支配力を持つ企業が競争を排除し、価格を独占的に設定する可能性を危惧する声もある。
ユニフォトプレスは、顧客の使用目的やゴールに応じて、また読者等の利用者のニーズにも配慮しながら、ケースバイケースに、さまざまな権利処理を目指している。今後は、市場の効率性や公共の利益を損なわないように、メディア業界として協調して取り組むべき課題を決め、重点的に取り組むことが、ますます必要となりそうだ。