スマホ世代に紙の本を出版する楽しさを

2023.07.01

PUBFUN  福浦 一広

 弊社は2022年4月にインプレスホールディングスとメディアドゥ両社のPOD(プリント・オンデマンド)部門を統合して設立した合弁会社です。今回は、統合の成果のひとつとして2023年6月にリリースしたスマホ対応「イージーモード」について紹介します。

 弊社では、主に個人ユーザーを対象としたPODの出版サービス「ネクパブ・オーサーズプレス」を運営しています。「ネクパブ・オーサーズプレス」は、Amazon PODの個人向け販売代行サービスで、印刷可能なPDFファイルを用意することで誰でも自由にAmazon PODによる紙の本の出版が行えるのが特長です。2021年にはAmazonが運営するKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)でもPODが利用できるようになり、国内ユーザーにとっては使い勝手や利用条件などで選択できるようになりました。

 Amazon PODは印刷可能なPDFファイルがあれば利用できる仕組みとなっているのですが、印刷に適したPDFファイルを用意するのは想像以上に難しいということが自社サービスを運営して体感したことです。この問題を解決するひとつの方法として用意したのが、「イージーモード」です。

 「イージーモード」はその名のとおり、お手軽にPOD出版できることを目的に用意した「ネクパブ・オーサーズプレス」の追加機能です。画像ファイル(JPEG)をアップロードすれば弊社サイトにて自動的に規定の判型に則ってPDFファイルを生成し、それをそのままAmazon POD用の印刷データにできるというものです。表紙も同様に、表表紙用の画像ファイルをアップロードすれば、ページ数に応じた表紙用のPDFファイルを自動生成します。イラストや写真などがあれば、簡単にAmazonで紙の本として出版できるのです。

 この「イージーモード」を発展させたのが、6月にリリースしたスマホ対応「イージーモード」です。こちらの仕組みもシンプルで、スマホ内にある写真やイラストといった画像ファイルを、スマホから直接アップロードできるようにしたものです。いってしまえはそれだけの機能なのですが、意外にもこれまでスマホから直接Amazon PODで出版できるサービスはなかったのです。Amazonが運営するKDPも同様です。フォトブックなどの印刷・製本サービスは多数あるのですが、Amazon PODを使ったサービスは実はありませんでした。もちろん、PC向けサイトをスマホで表示して使うことは可能ですが、スマホを想定していないサイトがほとんどです。

 スマホはカメラとしての性能が年々向上しているほか、処理能力も大幅に向上しています。スマホしか使っていない方も多数となった現在、スマホユーザーに対しAmazon PODを利用した紙の本の出版という体験を提供することの意義は大きいと考えています。まったく新しい使い方が誕生することを期待しています。なお、現時点では専用アプリの開発などは計画しておりませんので、スマホアプリベンダー様などさまざまな協業が可能です。興味のある方は是非お声がけください。