選択肢が増えた読書

2023.06.01

大日本印刷  平岡 正旨

 執筆の依頼を頂きどんなテーマにするか考えて、日本電子出版協会の活動にもつながる読書についてちょっとお話させて頂こうと思います。

 昔、本を読むには書店で本を買ったり図書館・学校などで借りて読むのが一般的でしたが、今は、紙の書籍の購入方法も様々ですし、電子書籍、オーディオブックなど、生活スタイルや趣向に応じた読書の仕方があります。読書とは、本を読むことですが、皆さんも子供の頃、お父さんやお母さん、学校の先生から読書を進められ、好き嫌いに関わらず、読んできたかと思います。私自身は、あまり読書を強制された記憶がなく、本を読むことが好きなので、読書に対してもいい印象を持ってきました。そのおかげで、余暇の娯楽の一つとして、また、移動時間の暇つぶしなどの読書は日常的です。

 余談ですが、初めて読んだ文庫本は、井上ひさしさんの「ブンとフン」で、その後、星新一さんの短編にハマりました。本が好きになれたのは、井上ひさしさんや星新一さんを通じて本に出合えたからかなと思っています。今では、星新一さんの作品は、小学校、中学校、高校の教科書に採用され、また、海外の教科書にも採用されていると知ってちょっと嬉しくなりました。

 また、読書は知識習得にも役に立ってきました。自分の経験だけでは補えないものをビジネス書に限らず様々な書籍を通じてセオリー、定説、教訓を知る事は、人生でも仕事でも役立つ、救われる存在だと思っています。なので世間の親にもれず、私も子供には、読書を推奨し本を読むとお小遣いあげると言う教育上いいのか?悪いのか?の様な事をしております……。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな中で、冒頭にも申し上げましたが、様々な読書方法の一つであるオーディオブックを始めてみました。仕事柄、ちょっと試しておきたいというのがキッカケですが、使ってみるとなかなか癖になる存在です。サブスクならではの意外な本との出会いや、人気俳優が朗読しているものを選んで聴いてみたら、素晴らしい本に出合えたとか。また、基本は、1冊通して、1人の方が朗読しますが、章ごとに語り手の視点が変わる内容の本では、それに合わせて、男性朗読者、女性朗読者に変えるなど、面白い工夫もあったりします。

 それともう一つ癖になったのが聴く環境です。オーディオブックなので、ながら読みならぬ、ながら聴きが出来ますが、ある程度、聴くことに集中できる環境でないと内容が入って来ません。ただ、何もせず集中できる環境でも、逆に余計な事が気になってこれまた内容が入ってこない、気が付くと寝てしまっていたり…個人的な問題?? それで、15秒巻き戻しボタンを連打して、また聞き直すと言った状況です。

 その中で、一番最適な環境が運転中です。理由がよく分かりませんが、安全運転をしながら、その余った耳と脳のリソースで聴くのですが、凄く良く頭に入ってきます。お陰で長い運転も苦にならなくなりました。今の時代、娯楽は可処分時間の奪い合いが熾烈ですが、運転中は他と競合しにくい(音楽という絶対的な存在がありまが…)という意味では、オーディオブックという存在は、読書をされる方を増やす事にもつながるのかなと思います。オーディオブックに関する様々な調査がありますが、だいたい認知度が5割程度、利用は1割に満たないという感じなので、これから利用者も増えて行くのではと期待しています。

 テキストという最もシンプルなコンテンツが人の想像という力で、他に負けないコンテンツであることを多くの方に知って頂きたい。オーディオブックから入り、紙の書籍や電子書籍を読み始める世代とかも出てくるかも知れません。好みに応じた読書仕方を選択し、素晴らしい読書体験を多くの方にして頂けたらと思います。

 ダラダラと書いてしまいましたが、1年半前より前任から引き継いで日本電子出版協会に参加させて頂いてます。参加するまで、知らなかった素晴らしい活動が沢山ありますので、私も微力ながらお手伝いさせて頂きたいと思っております。

 では、このメッセージは時間勿体ないですから、Webの読み上げ機能(1.5倍速)でお聞きください(笑)