2019年からのGIGAスクール構想は小学校から2年遅れて高等学校にも本格的な端末配備が始まり、GIGAスクールは公費端末配備のみの構想ではないなかで2024年度中には生徒一人一台の端末配備を完了する計画が文部科学省から打ち出されることとなった。
義務教育では一人一台端末の整備には国が予算を用意したが、高校はその対象外となったため費用の負担については各自治体の判断に委ねられた。2023年現在、設置者(自治体)負担を原則とするのが24自治体、保護者負担を原則とするのが23自治体と、数の上ではほぼ半々となっている。
北関東では栃木県、群馬県は設置者負担となるが、茨城県は個人負担。首都圏では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県は保護者負担となっている。近畿では京都府と兵庫県は保護者負担だが、大阪府、奈良県、和歌山県、滋賀県は設置者負担となる。保護者負担の自治体でも補助金が支給される自治体もあり、その補助金の額もまちまちとなっている。
端末の個人負担額は機種によって差はあるものの2023年度では4万円からとなっているようで、負担額としては小さくない。円安による端末代金の上昇が重なり、闊達なICT学習の実現に経済的負担がよりネガティブな影響を及ぼしている。
高校は教科書や教材の採用が学校の判断に任されている。元来高校は履修教科数も多くなり、副教材や学習辞典など新入学時に用意しなくてはならない教材数も多い。新入学時にはまとまった教材費負担が生じるのに加えて端末費用や関連諸経費が加算されることになる。学校は保護者への配慮をより考えるようになり、従来なら採用していた教材のとりやめを選択する事例も多く見られる。ことにデジタル教材についてはその傾向が顕著となっている。
また設置者負担での端末は、自治体が業者からのリースを受けて貸与するかたちとなっているため、生徒は卒業時に端末の返却を求められる。与えられた端末は生徒の持ち物ではないため、学校側はデジタル教材の採用に際し、保護者の負担を強いることにためらいを感じる傾向があると聞く。購入させた教材は最終的に生徒の持ち物となるわけではないからだ。
こうした金銭負担の問題は、生徒個人の高校学習の本質とは関係のない事情となるはずだが、GIGAハイスクール実施後の教材利用全体に大きく影響を及ぼしている。