Webブラウザーで読む日本語の文章で、連続した約物(句読点や括弧類などの記述記号のことですね)だけはもう少しなんとかならないものか、とつくづく思う。
空白が目立つし、バランスも悪く、冗長で拙く見えてしまうからだ。
これでは、せっかくの本文の読み心地がだいぶ落ちると思う。
Webでの日本語レイアウトについて、優先順位的にみて多少のことは目をつむるとしても、これだけは早くなんとかしてほしいし、これが解決するだけでグッと良くなると思うのだがどうだろう。
句読点や括弧類、中点などもそう、字面の前後にアキのある約物は、そのまま並べてしまっては連続したときに空白が目立ってしまう。
公益社団法人日本印刷技術協会のサイトで、小林敏氏が「日本語組版とつきあう」と題した連載のなかに、約物が連続した場合のことも詳しく書いておられるので見てほしい。
W3Cで、木田泰夫氏が議長を務めるJLReqタスクフォースは、WebやeBookで日本語をサポートするための要件と現実のギャップや要件自体について、エキスパートの人たちが知識を交換し共有するための活動の場だ。
Webでの日本語レイアウトのレベルアップを図ろうとするときに、標準的な仕様およびWebブラウザーをはじめとするアプリケーション側の実装をどうしていくか、ということと同じように、そこで使われるフォントの在りようもまた重要になると思う。なぜなら、レイアウトエンジンとフォントは、機能的に不可分だからだ。
昨年、そのJLReqタスクフォースに「フォント分科会」が立ち上がった。
私が参加している一般社団法人文字情報技術促進協議会に加盟しているフォントベンダーの人たちにもお声がけをして、この分科会に加わってもらい、これまであまり知られることのなかったフォントづくりの現場と、アプリケーション側の人たちとの情報交換が始まっている。
それで、冒頭のWebブラウザーでの連続した約物はなんとかならないかという話しなのだが、現在、JLReqタスクフォースでGoogleの石井宏治氏が書いた「OpenType約物の推奨事項」というドキュメントがレビュー中だ。
このドキュメントは、フォント製作者とアプリケーション開発者の双方を対象として書かれたもので、コンテンツ製作者から見た場合に、求められる次の三つの組み方について、どのようにすれば実現できそうだということが、その根拠や解説も交えて書かれている。
1. 詰め組み。一般的に、タイトル、広告、ディスプレイ文字などで使われる。
2. すべて「アキを内包する字送り」で組む。現在多くのアプリケーションはこの組み方が既定となるが、「3」に比べて可読性が劣るため、コンテンツ製作者がこの組み方を望むことは稀である。
3. 冗長なアキは削除し、アキを残す箇所では「アキを内包する字送り」で組む。主に本文で使われる。JLREQ/CLREQ/JIS X4051の基本の組み方。
もうお分かりのとおり、私の連続約物問題の解決は、Webブラウザーで「3」ができるようになればいいのだ。
そのために、フォントもアプリケーションも、Webの世界でもう少し歩み寄ることが必要だと思う。例えばフォントであれば、フォントベンダーが提供するフォントのOpenType機能が一定のコンセンサスのもと、このような推奨事項に沿って設定がなされている、といったこともそうだろう。
もし、そのような状況になれば、連続した約物の冗長なアキなどは瞬く間に削除され、Webでの日本語レイアウトのレベルアップが期待できる、そんなことをこのドキュメントは教えてくれる。
そしていま必然的に、日本語のフォント開発を担っている人たちに、国際標準化で活躍する人たちからも、一緒に課題解決に取り組んでほしいと、期待が寄せられている。