リモートワークと著作権処理

2020.11.01

ユニフォトプレスインターナショナル  太田 智徳

 緊急事態宣言が発令されてから6か月が過ぎました。皆様の生活、職場の様子、働き方、ビジネスの進め方など、いかが変化されましたでしょうか。今回は弊社のこの半年間のドタバタぶりと、その中で事業の一つである海外著作権処理業務の近況についてお話させて頂ければと思います。

 思い返せば2月、「ダイヤモンド・プリンセス号」関連のニュースが毎日報じられているなか、まだ社内有志で週末スキーに出かけるほど余裕もありましたが、下旬頃から外資系や大手企業が徐々にリモート体制に移行しているという話が出始め、今後の行方について段々不安になっていった記憶があります。

 実はその頃、直近に社内PC入れ替えでノートにするかデスクトップにするか迷ったあげくデスクトップを選択、また事務所が手狭になって来たのでフロアを増床する契約をしたばかりでした。このままの状況が進むと、弊社の選択はすべて裏目に出るかもしれない。しかもこれから繁忙期、海外著作権処理のピークの時期に差しかかります。

 3月になり、あっという間に学校一斉休校、欧米の美術館、博物館もどんどん閉鎖していきました。さすがに慌ててリモート対応用のノートPCを購入しようと思ったときには、案の定、流通在庫が品薄になっていました。いつもお願いしているベンダーさんに大変無理を言って中古も含めてかき集めていただき、どうにか突貫でリモート体制を取る準備を進めておりました。新規増床フロアに関しては、とりあえず手付かずです。

 さて、繁忙期である海外著作権処理業務ですが、権利元の欧米の美術館・博物館・大学・出版社がほぼクローズした為、3月、4月はあまり業務が進まないだろうと思っておりました。数年前に北米を寒波が襲ったときは、1か月くらい先方の業務が滞ったことを記憶しています。

 しかし、今回は違いました。弊社もそうですが、先方もリモート環境で業務を続けることが出来ているようで、普段は中々返事をくれない権利元スタッフも在宅の方が対応も早く、担当者間のやり取りは平常時よりもむしろスムーズであったようです。

 著作権処理ですので、最終的な許諾書や請求書の発行業務などのオフィシャルな部分は管理部門を最終的にパスしなくてはならず時間がかかりましたが、弊社にとって業務の一番のキモである、担当者間のネゴシエーションがスムーズに行えたという点がとても助かりました。

 7月以降は欧米の美術館・博物館の管理部門もおおよそ半数程度は出勤しているようで、オフィシャルな部分の発行業務も動いており、現時点では通常時よりリードタイムを短縮出来ているのではないかと思っております。

 著作権処理業務は先方ありきですので、時間が読めずいつも苦労しています。しかし、今回のことで色々と課題が見えてきたように思えました。キーマンとのネゴシエーションの部分にリソースを集中出来れば、権利処理にかかる時間もコストも抑えることが出来そうだと。何か当たり前のことではありますが、働き方が変わることによって今後は期待が持てそうです。どうにかして課題解決して行きたいと思っております。

 弊社の事務所に話を戻します。4月以降内装工事の予定を遅らせていた増床フロアですが、世の中がオフィス規模縮小している中、明らかに逆行になりますが、感染症対策助成金なるものがあると伺い、換気やレイアウトを見直し、パーテションの設置などの施しに活用させていただきました。ちなみにテレワーク支援助成金なるものもありましたが、バタバタで間に合いませんでした。少し惜しみましたが仕方なかったかなと思っております。

 今のところスタッフ一同元気に業務に取り組めております。リモート業務と在社業務の両刀で今後もやっていく予定です。一部で使用していたSLACKが自然と社内で広まりました。今ではなくてならない必須ツールとなりました。この騒動で働き方も変わりましたし、著作権処理業務も新たな課題が見えてきました。

 10月30日現在、ルーブル美術館が再び閉館となりました。まだまだ心配な状況が続きそうです。今後も持続可能的に著作権処理業務を続けていけるように日々精進していきたいと思っております。皆様にお知恵をお借りすることが多々あると思います。引き続き何卒よろしくお願い致します。