本コーナーへの寄稿は、2012年に 「電子出版は、出版とインターネットの間に生まれる」 を書かせてもらってからなので7年ぶりになります。改めて前回の記事を読み返してみたのですが、私の言いたいことはあまり変わってないことに気づきました。
電子出版の進展はやはり長丁場ということのようです。そこで今回は、電子出版とは直接関係がなくて恐縮ですが、長丁場では必要な健康管理について、私のリアル体験から得た情報のお話しをさせていただければと思います。出版産業の変化が顕在化してくるのはこれからが本番という気がします。皆さま、健康にはくれぐれもお気をつけください。(本記事は今年1月にINTERNET Watchに掲載されたコラムを加筆修正したものです)
■癌、発覚
実は、昨年8月に癌が発覚し、9月、10月と2回の手術を受けました。それまで怪我も含めて、入院も手術もしたことがなく病院にはほとんどお世話になったことがなかったのですが、還暦を過ぎたと思ったとたんに悪い意味での初体験のオンパレードとなってしまいました。
こういう出版の仕事をしているので体に無頓着だったのではと思われるかも知れませんが、人さまに比べて健康を軽視してきたわけではないと思うのです。年に1回の定期健康診断は欠かさずやっていましたし、運動も回数は少ないながらも武道を続けていたのですが…。
病名は大腸癌でした。2年前に定期健康診断でアラートがあり内視鏡検査をやっていたのですが、その時はいくつかのポリープが見つかり切除してもらいましたが、ほかに異常は見つかりませんでした。つまり、長くてもこの2年間で癌ができてしまったことになります。それも転移までしていたというスピードでです。最近の「二人に一人は癌にかかる時代」というフレーズで言えば、二分の一の確率に入ってしまっただけとも言えそうですが、この統計は終身での値であり60歳で見れば十人に一人以下の確率だそうで、やはり不運と言えそうです。
■誰も教えてくれなかった、体温低下の危険性
話が長くなってしまいましたが、今回お伝えしたいのは、私の体験で知った癌にならないようにするいい予防法についてです。
今回、自分が病気になったことでいろいろ勉強しました。Webを検索し、30冊くらいの本を読み、知人からアドバイスをもらい、経験者や病院関係者からも貴重な経験談を聞かせていただきました。その中で、健康についてとても大事なことがあるのを知りました。それは、体温が下がるとよくないということです。体温が下がると体全体の免疫力が弱まり、逆に癌細胞は元気になってしまうそうです。人間の体温は36.5度くらいが平均の平熱ですが、もしそれが35度台になっていたら要注意ということです。
私は、病気にかかる前までは風邪のときくらいしか体温を測ることはなかったので、自分の平熱が何度かなど気にしたことはありませんでした。でもいま思えば、体温が下がっていたという記憶があります。たとえば、いつもはよほどの寒さじゃなきゃコートを着なかったのに去年の冬はコートを着ていたし、手足が寒いと思ったことはなかったのに何となく手足や首筋が冷えるのを感じるようになっていました。おそらく、そのときはもう低体温になっていたのだと思います。
もし体温低下が癌を育ててしまうことを知っていれば、私は癌にならなかったと思うのです。もしそのことを知っていたら、腸の不調(実は自覚症状があった)を見過ごさずにもっと早くに病院に行き、早期発見ができたと思うのです。どうしてこれまで、そんな大事なことを誰も教えてくれなかったのか、もっと大々的に言ってくれればよかったのにと恨めしくなります。私だけ知らなかったのかと思い、まわりの人に聞いてみたら、やはりほとんどの人が知らない状況でした。それで、この場を借りてのご報告というわけです。
■スピード体温計が超便利
体温を測るには体温計ですが、一般的に体温計は熱が出ているかどうかを計るためのものと認識されていて、低いほうを気にするようには教わっていないと思います。ちょっとした発想の転換が必要ですね。それと、検温は不調のときだけでなく、いつも定期的にやることが肝心です。日々の体温低下は自分では気づかないうちに静かに進行しますが、定期的にチェックしていればその数値が客観的なファクトを示してくれます。
体温計は、最近人気の「スピード体温計」をおすすめします。スピード体温計は予測プログラムが内蔵されていて、15~20秒という早業で検温できてしまいます。プログラム予測型のために普通の体温計(5分計)に比べ誤差が出る弱点はありますが、癖をつかんでおけば問題ないし、何よりこの簡便さはちょっとしたイノベーションです。これなら毎日、簡単にできてストレスもありません。私は、毎朝、食事の前にやるようにしました。
スピード体温計は各社からいろいろ出ていますが、予測プログラムの出来に差がありそうだったのでロードテストをやってみました。テルモ(C231)、オムロン(MC-687)、タニタ(BT-471)の3機種を一週間試してみた結果、私の場合はオムロンのMC-687が一番いい成績でした。熱が出ているのを見逃さないためか、どの機種も高めの値が出るようになっていましたが、その中では一番少ない誤差でした。ただそれでも、0.2~0.4度くらい高めに出る傾向があるので、低体温チェックでは頭に入れておく必要があるでしょう。
この低体温チェックで癌が見つかるわけでも治るわけでもありませんが、癌を含めた大病になり易い体質になっているというアラートには十分の効果があると思います。そしてもし体温が低下してきていたら、いつもより体の不調に用心してほしいのです。そして体を温める対策をしてほしいのです(お風呂、食事、運動など)。温め方を含めた低体温への注意については、「太陽笑顔fufufu」の石原結實先生の 記事が参考になります。
体温低下と免疫低下の関係については科学的根拠が弱いという見解もあるようですが、だからといって温めてはいけないという見解は見受けられません。それに、「冷えは万病のもと」ということわざは漢方の基本ですし、我々の日常的な実感とも合っていると思います。癌予防に限らず、自身の健康のKPIにするのはいかがでしょうか。
最後に、私の手術は成功し、現在は再発防止のための治療を続けていることをご報告させていただきます。