ドリルの交換フォーマット「QTI」

2015.02.03

イースト  下川 和男

 昨年9月「EDUPUB Tokyo 2014」という3日間の国際会議をJEPAが事務局となって開催されました。これは、現在、日本の電子出版物の実質的な標準フォーマットとなっている「EPUB 3」を教科書や教材向けに拡張するものです 。
 教科書は一般の書籍に比べて「検定」など公的な要素が大きく、EDUPUBを標準化団体IDPFが推進するにあたっては、JEPA CTO村田真氏らによるEPUB 3の国際標準化「ISO/IEC TS 30135」が寄与しています。
 EDUPUBはIDPFとeラーニングの標準化団体「IMS Global Learning Consortium」、そしてWeb標準化団体の「W3C」が仕様策定を行っていますが、以下のIMS担当部分については、日本ではあまり知られていません。
・LTI(Learning Tools Interoperability) アプリケーション間連携の仕組み
・QTI(Question and Test Interoperability) 演習問題、ドリル、テストなどの交換形式
・Caliper Analytics 学習活動を記録・分析するためのフレームワーク
 LTIは多くのサイト活用されており、Caliper Analyticsは現在IMS会員社が仕様策定中なのでホワイトペーパーのみが公開されています。 QTIは韓国政府が電子教科書で採用しており、XMLに対応した仕様も公開されているので注目しています。
 EPUB(電子書籍)はコンテンツを「表示」するだけですが、ドリルは「問題(コンテンツ)の表示」「解答」「採点」「結果の保存」という複雑な処理が必 要です。現在、問題集アプリは多数存在しますが、その実現方法は様々なので、開発効率の悪さがデジタル化が進まない大きな要因になっています。
 国際的に標準化された交換形式であるQTIを採用すれば、「コンテンツとアプリの分離」が進むとともに、コンテンツ量産への道も開けます。イーストはこれ を推進するため、QTIのサブセットを用い、Excelフォームからのドリル・コンテンツ作成や、タブレット向けアプリを開発しています。