イースト 下川 和男
7月楽天Kobo、9月Google Nexus 7とGoogle Playブックス、10月Apple iPad miniと日本語組版に正式対応したiBooks 3.0、同じく10月Amazon Kindle 4機種とKindleストア登場。ということで、正真正銘の「電子書籍元年」がやっと訪れた。
Kobo、Google、Apple、AmazonそしてSONY、すべてEPUB 3が基本フォーマットになっているのは感無量。この中に日系企業が2社あるのも心強い。
「電子書籍元年」が何回目なのか、数えてみた。
世界で最初の読書端末はNEC PC-9801と連携する読書デバイスとして、1993年に販売された「NECデジタルブックプレイヤー」なのだが、この時は「元年」という言葉は使われなかった。
1回目は、2004年のSONY LIBRIeとPanasonic Σbookの登場。当時、私も「電子書籍元年」というセミナーを何回か開催した。しかし、残念なことに世界企業2社の「紙面から画面へ」プロジェクトは1年足らずで消えてしまった。
2回目は2010年、政府が主導する「三省デジ懇」発足時。2007年にスタートしたAmazon Kindleが米国で成功し、iPadが登場した年で、「黒船論」と共に「元年」となった。その後、2011年も「今年こそ元年」との声があったが、KindleもAppleも登場しなかった。
なので、2010年からだと3度目の正直、2004年を加えると4度目の「電子書籍元年」ということになる。 役者がすべて揃ったかというと、AppleのiBookstoreがまだ日本語対応を正式発表していない。着々と準備が進んでいるようなので、何とか年内に5社揃い踏みとなって欲しい。
2007年、米国でKindleが登場し、その成功の理由として、以下の3点が挙げられていた。
1. 9万点の品ぞろえ
2. ニューヨークタイムズの書評欄に載った書籍(つまり売れ筋新刊書)の8割をカバー
3. 9.99ドルという低価格(新刊書は定価30ドル、実売価格25ドルくらいが相場)
どれも日本では実現できていないが、黒船が「仏」を作ってくれたので、これから日本で「魂」が入っていくと期待している。