イースト 下川 和男
4月からJBasic(ジェイベーシック)という、EPUB3.0をベースにした、文字主体の一般書向けの指針(ガイド)を作っている。
10月11日、フランクフルト・ブックフェアでEPUB3.0が正式に発表された。JEPAと一緒に推進した「EPUB日本語拡張仕様」も盛り込まれ仕様は確定したが、日本語EPUBコンテンツはなかなか登場しない。
それもそのはずで、コンテンツを作っても売り場がない。この1年、毎月何回も「EPUBセミナー」を依頼され、「年内にアマゾンKindle Store、アップルiBookstore、ソニーReader Store、グーグル eブックストアが登場します。皆さんEPUBを作りましょう!」と連呼した。しかし残念ながら、現在EPUB3.0対応はReader Storeのみ。タマゴが先かニワトリが先かの問題だが、日本でEPUBコンテンツの生産体制だけは整えておかなければならないと思い、JBasicプロジェクトを多くの電子出版関連の方々と推進している。
2007年Kindleが登場した際、アマソンのウェッブサイトには9万点の電子書籍が並んでいた。今や100万点のコンテンツからKindleユーザは電子書籍を選択することができる。JEPAの中国セミナーでも説明したが、中国チャイナモバイルはCMread電子書籍部門の月次売上が19億円に達し、中国のケータイユーザは24万点の電子書籍を読むことができる。JBasicで日本語のテキスト系電子書籍が10万点を超えるお手伝いをしたいと思っている。
国際標準に日本語の縦書きや禁則、圏点、縦中横などを加える作業を、対IDPFは「EPUB日本語拡張」、対W3Cは「次世代ブラウザ検討会」という2組織で村田真さんと石井宏治さんを中心として推進し、大きな成果を挙げることができた。標準を策定するのは、あくまでもW3CやIDPFなので、JBasicが国内標準や派生仕様にならないように注意しなければならない。単なる指針(ガイド)やひな型なので、JEPA標準などにするのではなく、一企業からの提案が、デファクトとして使ってもらえれば、それが最良だと考えている。
イーストとしては、1999年の「出版物交換用XMLフォーマットJepaX」以来、2回目のボランティア作業だが、昨年度、総務省の予算もいただいたので、今年はそのご恩返しとして頑張っている。 Facebook上の公開グループには115名が参加され、200件を超える発言やコメントがウォールに書き込まれている。この議論自体がJBasicの財産だと思う。
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