常用漢字について

2008.12.01

リョービイマジクス  石岡 俊明

 私の名前で「岡」は、「岡山」や「福岡」のように県名にも用いられており、一般によく使われる文字なのに常用漢字ではない。常用漢字表には、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものである。」と記載されており、さらに「固有名詞を対象とするものではない。」という記載がある。「岡」は後の記載により、常用漢字表に選ばれなかったようである。
 平成12年に国語審議会から答申された表外漢字字体表では、「岡」が印刷標準字体に加えられた。そして、現在検討されている常用漢字表の追加案にも「岡」が含まれている。「岡」が常用漢字でないことによるデメリットは今まで無かった。また、「岡」が常用漢字表に追加されたとしても、私の生活には何も変化は無いであろう。しかし、「岡」が常用漢字になることは、なんとなく嬉しい気分である。
 しかし、常用漢字表に追加される文字の字体がどのように決まるかは、フォントの開発および販売をしている立場から、非常に影響が大きい。例えば「謎」は、JISの例示字形は1点シンニョウだったものが、表外漢字字体表に従って改定されたJIS X 0213:2004では、2点シンニョウに変更された。
 現在の常用漢字表は新字体を採用しているので、常用漢字に追加される文字の字体がこの基準どおりとなると、1点シンニョウとなってしまう。そのようになれば、2004年に変更されたJISの例示字形で、いくつかの文字は再度変更されるのではないかと心配していた。例えば、「謎」は1点シンニョウだったものが、2004年に2点シンニョウに変更され、20xx年に再度1点シンニョウへと変更されることになる。
 11月26日の新聞に、「常用漢字表に追加する予定の字種191字の字体を、印刷標準字体とする案を大筋で承認した。」という記事が出ていた。この通りに決まれば、最悪の事態が避けられる。だが、「大筋で承認」ということは、まだ変わる可能性もゼロではないということなのか? JISの例示字形が変更されないことを祈るばかりである。