巨人が目を覚ました、さあ大変
2006.11.01
JEPA事務局 三瓶 徹
電機メーカの企画部門では30年も前から、ホームコンピュータなる家庭情報センタの地位を押さえるのはTVなのか、PCなのか、ゲーム機なのか、最近では携帯電話も加えての議論が続けられてきた。PCは新しい試みに果敢に対応した結果、インターネットを10年でここまで進化させた。PCのようにオープンであれば、いかようにでも変化できる。TVメーカだけが作るTVにはユーザは手が入れられない。ソフトのバージョンアップは放送波で送り込めるが、メモリや、グラフィックの能力が足らなくなっても対応できないのでサービスを追加できない。どうもPCが有利であることは仕方がない。
しかし、情報センタをPC系に押さえられると家電メーカは付加価値の少ないディスプレイメーカになってしまう。放送インフラを整備しても今までのようなTVを見る習慣は薄れるかもしれない。それも困る。国や家電メーカでは、この小田原評定にも似た議論を続けている。その間に家電メーカの心配どおり、音楽や映画の世界にPCが入ってきた。今までコンテンツは広告と一緒に空から降ってきたのに、ネットが加わった。残念ながら音楽や動画のビュアを世界標準にできるのは圧倒的にマイクロソフトが強い。ちょっと油断したためにアップルに先を越されたがマイクロソフトの反撃が始まる。
電子出版の世界も、マイクロソフトやアドビが世界を二分して制するかと思われたが、ここ6年ほど音沙汰が無かった。まあテキスト系のビュアであれば少し技術があれば作れることもあって、巨人の2人が寝ている間に幾つものビュアが拡がっていた。ただ、この平穏もアドビが動き出したことで、日本でも動きがあるかもしれない。
一方、マイクロソフトの力が及ばない携帯電話の世界では、日本のコンテンツは頑張っている。しかし、標準作りでは欧州が強い。一方PCも安泰ではない。ネット環境が良くなれば、コンテンツ制作者でもない限り、PCはHDDレス、アプリケーションレスのGoogler’s PCとなり、Wintelの終焉になるかも。
http://biz.yahoo.com/bw/061024/20061023006404.html?.v=1 http://labs.adobe.com/technologies/digitaleditions/