イースト 下川 和男
「Web2.0」が全国紙の見出しにも登場し、世間を騒がせている。インターネットも、HTMLを読む時代から、何時でも、誰でも、何でも、気軽に書く時代へと突入した。Googleは全世界10億人のインターネット・ユーザに、30万台のサーバを使って、書き込まれた文字の検索サービスを無料で提供し続けている。
Web0.8企業のMicrosoftは、年内に多くの2.0型サービスの提供を予定している。Web1.0企業のYahoo!は、ブログ・サービスをスタートさせ、SNS(ソーシャルネットワーク)も秒読み段階に入っている。Web1.5企業のAmazonは、Webサービス型アフィリエート機能が、ブログで花開いた。Web2.0の超優良企業であるGoogleは、ギークな社員達が遊びと仕事の境界をなくし、Google Earthから見える景色そのままに、国境のない世界国家の住民サービスを標榜している。
そして、Microsoft、Yahoo!、Amazon、Googleの4社すべてが虎視眈々と狙っているのが、既刊本のデジタル化とその検索サービスである。ブログで書き込まれた不確かな情報ではなく、編集され出版社のブランドを冠して世に出された書籍の情報は、売れると判断しているのである。
複数の書籍デジタル化プロジェクトが進行中で、その波が日本にも近づいているが、文字のみならず、Podcastのオーディオ、VodcastやGoogle Videoのビデオ情報までもが、サーバに蓄積され、世界中に配信されている。
iPodやTiVoなどのハードディスク上の情報の個人所有も10年後には消滅し、「パチンと指を鳴らすだけで」自分が欲しい情報や文学、音楽、映画などがネットから降ってくることになる。
デジタル情報の蓄積や配信コストは限りなくゼロに近づくが、編集されたコンテンツの価値は逆に高まる。つまり、出版社の編集力、企画力はWeb2.0の世界にも活かされると確信している。