WBTと「夢の」携帯・モバイル・読書端末

2001.06.01

アルク  坂本 由子

 売り上げの過半数を通信講座で占める弊社においては、WBT(Web Based Training) が今後どのように発展していくか、非常に関心が高い。
 昨年末から、スペースアルク(ネットワーク事業部を昨年分社化)と共同で、現在発売 している4つのTOEICの通信講座を順次WBT化していくプロジェクトを進め始めた。
 ただ、個人向けのWBTが語学の分野で成立するかどうかは、いくつか問題をクリア していかなければならない。
 まず、音声の配信をどうするか、という点である。語学教育に音声は必須だ。音声の 配信は、現在の通信の環境では、配信する側のサーバー代、受ける側の通信環境とも、 現時点では、まだ、ビジネスになる環境ではない。ただし、これは、ブロードバンドの 環境が整ってくれば、2,3年後には解決するかもしれない。あるいは、現在の教材と 併せて販売することで、次善の策は取ることができる。
 もうひとつ、やっかいな問題は、個人の学習スタイル、ライフスタイルである。つまり、 通信講座を受講しようとする人は、社会人で仕事をしているケースが多い。現在の通信 講座受講のスタイルは、多くの方が、平日の学習を、通勤途上やちょっとした空き時間 を利用してこなしているのではないかと思われる。
 しかし、通信講座ともなれば、勤務中にゆっくりパソコンの前に座って時間をとって 学習するわけにはいかないだろう。そうはいっても、仕事で疲れて自宅に戻って、特に お酒が入って、コンピュータの前に座って学習をする人がどのくらいいるだろうか。
 それを考えると、紙の媒体の携帯性は強い。テキストは大きさの問題は出てくるが 紙なので軽い。鞄の中に入れておけるし、音声はMDやカセットにおとして通勤電車の 中でも聞くことができる。
 ただ、紙の教材にはないWBTの最大の利点は、個人の能力と進度、学習スタイルに あわせたカスタマイズができることである。このよさを生かすには、WBTの環境に 携帯性を加えることも、解決策のひとつではないかと思われる。
 間違えた問題、覚えてなかった単語、その日の学習事項などを端末で受け取って、 空き時間を利用して学習するなどのサブ的使い方ができれば便利だろうし、音声と文字 がシンクロできる機能があれば、ウォークマンがわりに聞いて、わからない部分を文字 で確認することもできる。
 個人的にも、こんな機能があれば、絶対購入すると思う外形や機能をランダムに挙げ ると下記のようになる。
・ポケットまたはバッグに入る大きさ ・薄くて軽い
・インターネットに接続することができる
・メールができる ・折り畳んだまま、あるいは開いて見ることができる
 (液晶がむき出しになっていない)
・WBTに対応するインタラクティブ性
・本や雑誌のデータをダウンロードして、クリアな文字で読むことができる
・音声とテキストをダウンロードして、音声と文字をシンクロさせることができる
・辞書機能付き ・スケジュール・住所管理 ・入力ができる
・テレビ電話になる ・テレビを見ることができる
・映画を見ることができる ・電池長持ち・充電できる
・カードでデータ入れ替え可能 ・ゲームができる
・インターフェースが簡単で直観的にいろいろな操作ができる
・頑丈・故障しにくい
・10万円以下
 どんな機能が必要かという点について話していくと、単機能がいいとか、ウエアブル コンピュータでメガネのように見えるものがいいだとか、使用用途によって、方向性も あちこちに飛んでいく。私はてんこ盛りが好きなたちなので<携帯+モバイル+読書 端末>機器があると便利だと思うが、みなさんはどうだろうか。