汎用電子図書館は次世代の社会基盤になる筈ですが、GAFAに代表されるように、社会基盤となるものは1つあればよく、1位になるものが市場を総取りする構造となり、社会規範すらも大きく変容しかねない危うさも持っています。そこで我々は、持続できる電子図書館のモデルを模索してきました。
 今、我々が注力している小中学校向け専用デジタル図書館は、義務教育に絞ることによって、「全国の小中学校950万人の子ども達が読んだ本の(蔵書購入ではなく)アクセス利用料を、国が保証する義務教育の一環として税金で払うというビジネスモデル」とし、子ども達への機会平等を実現しようというものです。そのためには、関係者はもとより多くの国民の理解を得ねばなりません。

2024年度活動計画

委員会を月1回開催(原則として毎月第2木曜日の17時~18時半)、但し8月は休会。

  • (1) 小中学校を対象とした学校デジタル図書館の推進
  •  学校も集約し、書店も無くなって久しい消滅可能性自治体であっても、小中学校の児童生徒には、必要十分な本を届けなければなりません。デジタル環境さえあれば、クラウドから電子本、事典、統計資料、海外出版物などの豊かな情報を提供することは可能です。但し、同時に情報に適切に対処するスキルを与えねばなりません。そのために現場の先生方や学校司書を支援する全国的なコミュニティも構築し、自律的にみんなで切磋琢磨できる環境を用意する必要があります。
    さて、
     ・離島や山村の小さな学校の子どもにも、どのようにしたら必要十分な本を届けられるか
     ・それが学校デジタル図書館サービスだとすれば、持続可能なサービスにするには、
      (a) 必要十分な量の本(数万冊)が電子本で揃えられるか
      (b) アクセス利用料は地方で負担できるか、または国が一括負担できるか
      (c) アクセス利用料が出版社、著者に還元され、新しい本が作れる循環になっているか
     ・運営は中立的で安定した公共セクターであることが望まれるが、裏方やシステム、選書などは民間が担当するのも可能か
    等、課題が山積みです。
     2024年度は、学識経験者、学校教育関係者、サービス各社、児童書出版社などと、検討会をスタートさせることを目標にしたいと思います。  

(2) 電子図書館をテーマにしたセミナー・見学会の実施
(3) その他、目的達成に必要なこと
委員会のへの参加を検討されている方は、下記をご覧ください。
https://www.jepa.or.jp/jepa/commitee/join/

過去の成果

2010/02/05 国立国会図書館に対して電子書籍配信構想に関する「日本電子出版協会案」を提案
2012/10/18 「公共図書館における電子図書館推進のための留意点」提案
2017/3/24 国立国会図書館による有償の電子書籍・電子雑誌等の収集と閲覧提供についての提案

2021年からの活動

  1. 1. 緊急提言「今こそ国は学校電子図書館の準備を!」を2021年2月24日にJEPAサイトに公開した。
    https://www.jepa.or.jp/pressrelease/20210224b/
  2.  
  3. 2. 2021年9月8日に広報委員会の協力を得て「学校デジタル図書館」の特設サイトをオープンした。特設ページは、全国のどの小中学校でも使える「学校デジタル図書館」を国主導でつくることを訴えるもので、わかりやすい動画などでその趣旨を伝えている。
  4.  

  5. 3. 図書館総合展2021年11月1日~30日に出展した。
    https://www.libraryfair.jp/booth/2021/23/
  6.  
  7. 4. 2021年12月22日に文科大臣に要望書を、総理大臣、官房長官、デジタル大臣、参議院文教科学委員会、衆議院文部科学委員会、全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県教育委員会連合会、文字活字文化推進機構、理化学研究所などには要望書の写しを、全部で84名の方々にお送りした。
  8.  
  9. 5. 図書館総合展2022年11月1日~30日に出展しました。
    https://www.libraryfair.jp/booth/2022/127

        • 6. 文部科学省 第5次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」への意見(案) へのパブコメを11件提出し、2件に回答がありました。令和5年3月24日
          意見概要
          ・デジタル化等、今後の子どもの読書活動を取り巻く情勢の変化を想定した大胆な計画が求められるのではないか。
          ・児童生徒の読書習慣の形成のため、学校図書館の利活用を促進すべく、クラウド上に「小中学校向け学校デジタル図書館」をつくり、国が中心となって取り組むべきではないか。
      1. 7. 2023年10月19日に文部科学省の大臣室を訪問し、盛山正仁 文部科学大臣要望書をお渡しして、資料にてご説明しました。大臣は熱心に聞いて下さり、ユニバーサルデザイン等の重要性についてもご指摘がありました。同日、平井卓也 元デジタル大臣も、お忙しい時間を割いて説明を聞いて下さり、著作権等についてご質問を頂きました。
    1. 8.  図書館総合展2023年10月24日25日のポスターセッションに出展しました。
    2. https://www.libraryfair.jp/poster/2023/136
  10. 9.  文部科学省 地域学習推進課に以下の資料を提出しました。
  11. 学校デジタル図書館提案資料

  12. 「学校デジタル図書館」に国の関与が必要な理由
  13.  
電子図書館委員会メンバー
委員長 三瓶 徹 JEPA顧問
委員 天谷幹夫 JEPA副会長 パピレス
委員 岡山 将也 JEPA理事 日立コンサルティング
委員 金原 俊 JEPA前会長 医学書院
委員 佐々木真之 Net Time Japan
副委員長 佐野 悠介 コスモピア
委員 塩田 幸雄 電子図書館委員会特別委員 元厚生労働省政策統括官
委員 鈴木 秀生 学研HD
委員 高橋 考 三和書籍HD
委員 中山 正樹 JEPAフェロー 元国立国会図書館電子情報部長
委員 堀 鉄彦 特別個人会員
副委員長 柳 明生 電子図書館委員会特別委員
委員 山岡 功 大日本印刷
委員 松田真美 JEPA会長 医学中央雑誌刊行会
委員 清水 隆 事務局長