03 『日本電子出版協会』設立の趣旨

 出版業界及び関連業界は、本格的な情報化社会を迎えて、従来の情報産業の主役としての地位をいかに固守すべきかに戸惑っている。前例のない未踏情報化社会に対応する鍵は何か、業界全体の見通しは不透明で、むしろメディアとしての危機感が強い。
 いまや、出版業及び関連業界の急務はニューメディアに対しての明確な概念の確立と実態の把握にあると言えよう。
 出版業界及び関連業界人は、かつて集積した情報量や収集・加工の技術と能力をいかに新時代に生かし、サバイバルの方途を探るかを真剣に考えなければならない時期だといっても過言ではない。
 幸い、ニューメディアシステム発達の過程で、欠くべからざる要素は、出版業界及び関連業界に集積された情報量を生かすソフトウェアの開発であると考えられている。
 出版業界及び関連業界が新情報社会に対応すべく、業界内はもちろん、コンピュータを中心とするハード及びソフトの関係者と、より緊密に情報の交換を行い、各々のその立場を守りつつ、研鑽し合いながら将来の展望を考え、かつ、具体的な行動を起こすことは時代の要請であろう。
 以上の認識に基づいて『日本電子出版協会』は、新しい情報社会に対応する新しい需要を喚起し、それに相応しい流通を整備して、情報の付加価値創造の方途を探ることを目指すものである。

昭和61(1986)年9 月12 日
日本電子出版協会設立発起人会