E Inkとは
E Inkは、米E Ink社が開発する電子ペーパー技術である。紙が持つ視認性、携帯性などの特徴を持ちながら、表示部分を電子媒体として実現している。
AmazonのKindle paperwhiteや楽天のKoboなど、多くの電子書店が提供する電子書籍リーダーに搭載された実績を持ち、E Ink≒電子ペーパーとして認識されるシーンが増えている。
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E Ink誕生の歴史
E Ink社は、台湾のTFT-LCD(薄膜トランジスタを利用した液晶ディスプレイ)のパネルメーカを前進とした企業。1992年にE Ink Holdingsとして設立後、2009年にマサチューセッツ工科大学メディアラボが開発した電子インク技術と電子ペーパーの開発を行うE Ink社を買収し、今の企業体となる。2016年に、LCD事業全般から撤退し、電子ペーパーの研究・開発・提供を行っている。
2022年、E Inkのおもな事例の1つとして電子書籍リーダーが存在するが、もともとは、前述の紙の特性を活用した電子媒体として、電子ノートやデュアルディスプレイ、物流タグ、サイネージなど、身の回りでの活用が行われてきた。
日本は、凸版印刷株式会社が2001年にE Ink社に出資し、カラー化の戦略的提携を行ったり、2004年にE Ink全面板の量産供給を開始するなど、現在の電子出版市場の形成前から、E Inkとの関わりは深い国の1つと言える。
E Inkの特徴
E Inkにはいくつかの特徴があるが、何と言っても紙の特性をそのまま踏襲している点が挙げられる。もう少し具体的に説明すると、従来の電子ディスプレイ(スクリーン)の場合、電源が切れると表示がなくなる、また、電力消費が大きい。
しかし、E Inkは、バイステーブル技術と呼ばれる「電源供給がなくても電子ペーパーディスプレイ上の画面が消えずに表示され続ける」技術を採用し、画面が切り替わるときだけ電力を消費するため、状態表示でも電力を消費せず、結果として、超低消費電力を実現する。
また、多くのスマートフォンやノートPCが採用しているバックライト型のLCDやOLED搭載ディスプレイではなく、「反射式ディスプレイ」を採用し、従来の紙の視認原理と同じ仕組みとなる。結果として、明るいところではよりはっきりと視認性が高くなる。
さらにLCDやOLED搭載ディスプレイと比較して、目の疲労軽減、ブルーライトによる影響減など、目に優しい点もE Inkの大きな特徴の1つとなっている。
E Inkを使用しているデバイス
前述のとおり、Amazon Kindle paperwhiteや楽天Kobo Touchなど、主力電子書店が提供する専門電子書籍端末の多くでE Inkが使用されている。
この他、ソニーのSony Reader、さらに、電子書籍リーダーの枠を越えたOnyx InternationalのAndroidタブレットBOOXなどにも搭載されている。