授業目的公衆送信補償金制度

2022.06.29

授業目的公衆送信補償金制度とは

2018年5月の著作権法法改正で創設された補償金制度。従来学校で認められていた遠隔合同授業(後述)での公衆送信以外の授業についても補償金を支払うことで無許諾で公衆送信を行うことが可能となった。2019年指定管理団体として、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS:サートラス)が指定された。

 

もっと詳しく!

従来は、授業で公衆送信することは、対面授業と同時に行われる遠隔授業(遠隔合同授業)の場合にのみ認められていたが、ICT授業を進める目的で遠隔合同授業ではない遠隔授業でも公衆送信が認められる様になった。制度の利用に当たっては、学校単位で指定管理団体・SARTRASに生徒数1人につき補償金を年額60円(幼稚園)〜720円(大学)支払うことが必要。

 

制度のメリット

コンテンツ毎に利用の許諾を得る必要がなく、利用を断られる心配がない。手続きも学校が一括して行い、指定管理団体は1箇所なので、手続きが簡便になっている。
著作権者全体のメリットとしては、一定の収益を確保できるメリットがある。個別の権利者についてはサンプル方式なので、完全な利用に対する還元があるわけではない。

 

指定管理団体と補償金の分配

補償金を受け取ったSARTRASは、サンプル方式の利用報告に基づいて各分配業務受託団体(JASRACや日本文藝家協会、日本書籍出版協会など)に配分、各団体が個別の著作者に支払いを行うというスキームとなっている。2021年度の補償金総額は27億円を見込んでいる。

 

申請状況

2021年6月30日現在、申請者数は幼稚園から大学など合計11889件。文科省統計総数に占める割合は、20.9%とまだまだ申請率は低い状況となっている。小学校30%、中学校30%、高校22%、大学46%の申請率。

 

[生駒大壱 株式会社旺文社 20220627]