学習eポータル

2022.05.20

学習eポータルとは

初等中等教育向けLMS(学習管理システム)。大学や一般企業では、Moodle、CanvasなどオープンソースのLMSが使われているケースが多いが、日本の初等中等教育にそくしたシステムのインタフェース仕様が公開され、サービスは民間の事業者が行う、協調領域と競争領域を分けた仕組みとなっている。(関連項目:GIGAスクール
 

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上図の通り、問題集データベース「MEXCBT」や各自治体や学校が使用している「校務システム」と連携し、学習ログをxAPIというデータ形式でLRS(学習履歴データベース)に格納する。先生や生徒、教室、時間割などの管理も担当する。教科書、教材、問題集などとの連携にはLTIというインタフェース仕様が使われている。
ICT CONNECT 21という業界団体が推進しており、以下に詳細が公開されている。
https://ictconnect21.jp/document/eportal/

MEXCBT(メクビット)

文部科学省(英文略称:MEXT)が推進する、コンピュータを使ったテストや問題集の仕組み(CBT:Computer Based Test)で、国や地方自治体の様々な問題集が蓄積されつつある。そのデータ形式はQTIを使用しており、オープンソースのQTI処理システムTAOを使う場合が多い。

QTI

Question and Test Interoperabilityの略で、相互運用性を確保するために、XMLを使った問題データ形式。米国のIMS Globalという業界団体が仕様を策定している。

LTI

Learning Tools Interoperabilityの略で、LMSが教科書、教材、問題集などのToolsを呼び出し、ToolsからLMSに戻すための手順(プロトコル)。米国IMS Globalが仕様を策定している。

OneRoster

名簿(Roster)の一元化を行うための仕組み。学校や児童生徒など「校務」とLMSが持つ「学習(教務)」のデータを連携することができる。

xAPI

eXperience Application Programming Interfaceの略で学習履歴を蓄積するためのデータ形式。米国のADL:Advanced Distributed Learningという政府系機関が仕様を策定している。

IMS Global(1EdTech)

米国の主に大学、企業などを対象にした業界標準策定団体であったが、近年、日本の影響もあり、初等中等教育の標準化にも力を入れている。W3Cのようなネット上でのオープンな標準化ではなく、会員内で仕様を決めるので「仕様が肥大化しやすい」「Webとの整合性がゆるくなるケースがある」などの指摘がある。策定された仕様は一般に公開されるが、適合性(Conformance)テストはこの団体で行っている。組織名を2022年6月、1EdTechに変更した。
2016年、日本でのIMS仕様の普及を目的として「日本IMS協会」が設立された。

Open Badge(オープンバッジ

知識、スキル、経験などをデジタルで証明する仕組み。ブロックチェーン(分散技術)などを使っており、様々な組織が発行したバッジを、個人が一元管理するウォレットという機能がある。
※「学習eポータル」には含まれないが、IMS Globalが推進する重要な仕組みなので、ここで紹介する。

[下川和男 イースト株式会社 20220520]