出版権

2017.04.11

出版権とは

 「出版権を設定する」というのは、著作権者(具体的には複製権保持者)が、その著作物を、出版者を特定して出版する権利を付与するこという。これは、紙の出版物とWebなどを含む電子出版物が対象となる。放送や有線放送は対象とならない。

 著作物の「利用許諾契約」では、出版者は著作物を利用して出版する許可を、著作者から得ているだけで、出版者自体がその著作物に対する権利を有しているわけではない。著作物の盗用などがあっても著作権を主張する主体は著作権者になる。それに対して、「出版権設定契約」では、出版者側に出版権が生じているため、盗用などに対して、出版者が当事者として対抗することができる。

 

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出版権者の義務

 出版権者(出版社)は、原稿の引き渡しを受けてから6か月以内に出版を行わなければならない。Webなどの場合は、自動公衆送信を行わなければならない。

 

出版権の登録

 法的には、出版権は文化庁に登録しなければ第三者に対して対抗することはできない。しかし、登録という手続きが必要なこと、登録には1件当たり3万円が課せられるため、登録制度はあまり利用されてこなかった。

 

出版情報登録センター

 出版権設定契約や書誌情報を簡易に登録・検索できるようにするために、日本出版インフラセンターによる「JPO出版情報登録センター」が設けられている。このセンターに登録しても、現状では第三者対抗要件にはならないが、こうしたシステムを運用・公開して、登録件数を蓄積することにより、多くの人が認知する情報センターとなることを目指している。それにより、係争があった場合でも広く認知された情報を確認しないことは過失にあたると判断される可能性があるため、事実上の登録制度となりうることが期待できるとしている。

 

 

[清水 隆 20170410]