OOXMLとは
OOXML(Office Open XML)はマイクロソフトOfficeの文書ファイル形式をXMLで規定したファイル形式の名前である。Office 2007のファイル形式が初めて全面的にOOXMLで規定された。その後、OOXMLはISOの国際標準となり現在に至っている。
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Office文書を保存するとできるファイルの形式は、2003まで独自のバイナリー形式であった。Wordでは独自のバイナリー形式に加えてRTFという交換用テキスト形式でも保存できるようになっていた。そして、Word 2003で初めて、WordProcessing ML(WordML)というXML形式で保存できるようになった。
Office 2007では、Word、Excel、PowerPointの三つのアプリケーションの文書形式がOffice Open XML というXML形式で規定され、WordMLはOOXMLの一部分となった。
Office 2007のOOXML形式は2006年12月にECMA-376第1版として出版された。その後2008年12月にECMA-376第2版が出版され、第2版を元にISO/IEC 29500:2008仕様となった。ECMA-376とISO/IEC 29500はOfficeのバージョンアップと並行して改訂されている。最新のOffice 2016の文書形式はECMA-376第5版、ISO/IEC 29500:2016である。
国際標準化競争
マイクロソフトがOfficeの文書形式の国際標準化を進めたのは、当時の競合であるサン・マイクロシステムズが進めたオープンソースのオフィスアプリケーションOpen Officeの戦略が大きな影響を与えている。Open Officeの文書形式はOpenDocument Format (ODF)というXML形式で策定され、2005年にOASIS標準、次いで2006年にISO/IEC 26300:2006となった。
ODFの国際標準化により、政府調達や地方公共団体の一部でOpen Officeを採用し、マイクロソフトOfficeを閉め出す動きが見られた。こういった動きに対処するためにマイクロソフトはECMAを通じてOOXMLの国際標準化を急いだのである。
XML形式のメリット
マイクロソフトOfficeの文書形式がバイナリーの時代には、Officeの文書を他のアプリケーションで読むにはマイクロソフトから仕様書を入手すると共にOffice文書を解析しなければならなかった。XML化されてからは比較的簡単にOffice文書の内容を読んで再利用できるようになった。また、他のアプリケーションからOffice文書と互換のファイルを簡単に出力できるようになった。
RTFという交換用テキスト形式も様々なアプリケーションでWordの文書を交換・再利用するために使われてきたが、それもすでにWordMLで置き換えられている。このようにXML技術によってOffice文書の交換方式は一新された。
互換性
Word 2013以降では、「名前をつけて保存」のメニューから「Word文書(docx)」と「完全Open XMLドキュメント(docx)」という二つのdocx形式を選択できる。これはISO/IEC 29500への準拠方法の相違である。ISO/IEC 29500には4つのパートがあり、ISO/IEC 29500-4(パート4)でVML形式など古いOfficeの文書ファイル形式を利用できるようにしている。ISO/IEC 29500完全準拠とはパート1~3に準拠する厳密(Strict)型であり、パート4も利用するのが移行(Transitional)型である。Office 2007はECMA-376の第1版を読み書きする。Office 2010は厳密型を読むことができるが書くことができない。厳密型を読み書きできるようになったのはOffice 2013からである。そういう意味ではOffice 2013で初めてISO/IEC 29500に完全準拠したことになる。