ページ

2017.02.09

ページとページ区切りとは

 ページとは、シートまたはパネル上で文字などの情報を配置する領域を意味すると共にその領域を数える単位でもある。冊子形式の本の用紙の片面が1ページである。巻物形式のときも使われることがある。Webページという言葉が普及し、電子書籍でもページという言葉を見かけるなどディスプレイ上への表示でページという言葉を使うことが増えてきた。

 

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 ページという言葉は日本では明治時代に洋装本の普及にともなって広く使われはじめた外来語である。『言葉に関する問答集 総集編』(文化庁編集、2015年11月16日版)のp. 476~477によると、ページが日本で使われ始めたのは、明治20年頃から出版物の広告などに見られ、明治40年頃までに一般の辞書の見出しになったという。

 英語のpageは、冊子状の本では1枚の用紙の片面のことである。文書のかたちには、羊皮紙などのシートを左右の辺を糊付けまたは縫い合わせてつなげた巻物(スクロール)形式もある。横方向にスクロールする巻物上に横書きで文章を配置するとき、行は上から下に進むので、スクロールする方向と行の進行方向が直交する。そこで巻物でもページに区切る必要があり、1枚のシートがページとなる。

 日本では「ページ」という言葉が登場してからしばらく後に「頁」という漢字があてられ、その後「頁」が圧倒的に多く使われるようになった。但し、戦後の漢字政策により「当用漢字」「常用漢字」に「頁」がないので、現在、国語施策に従うときは、「頁」ではなく、「ページ」を使う(出典は同上)。

 このことは、日本では洋装本でいうページの概念が明治の初めまでなかったことを示している。その理由を推測すると、巻物は縦書きを読み読める方向と行の進行方向が同じでありページ区切りが不要なこと、和本は和紙の1枚に木版刷りか手書きした後で二つに折って綴じる方式が主流で、洋装本のように紙をシートとして裏表使うという考えが希薄だったためだろう。

 現在の話に戻ると、Webブラウザではページの概念が弱い。例えばCSSでページの大きさを指定し、リフローする内容をページ単位で区切ってページをめくって画面表示するといった機能は実装されていない。Webブラウザで横書き文書を縦スクロール表示するときは、行の進行方向とスクロール方向が一致するのでページ単位の表示が重要ではないためだろう。

 現在、ブラウザで縦組みができるようになりつつあるが、いまのブラウザで縦組みしようとすると横スクロール表示となる。このときはページに区切る必要性はあまりない。ブラウザで縦組の内容を縦スクロール表示しようとすると、ページの高さを指定して、文章をページで区切って、ページをめくって表示する機能が欲しくなる。リフロー型EPUB3を、ページめくりで表示するリーダーは多いが、ページ区切り機能が標準化されているわけではない。ディスプレイ上でのページの表記機能は今後改善される必要がある。

 

 

[小林徳滋 アンテナハウス株式会社 20170206]