解像度とは
解像度は対象をどの位まで詳細に見たり・表示したりできるかを表す用語である。アナログ光学機器では分解能と同義に使われる。しかし、デジタル機器では意味が異なり、ピクセルやドットの数あるいは密度を表すのに使う。例えば、スキャナーやプリンターのように、アナログの紙を対象として画像を入出力する機器ではドット密度を解像度という。それに対して、ディスプレイやデジタル画像ファイルでは、縦×横のピクセル数を解像度という。
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アナログ機器の解像度と分解能
望遠鏡では遠くの物体をどの程度まで分解して鮮明に見ることができるか、という意味で解像度を使う。分解能ともいう。光学式望遠鏡の解像度はレンズの口径に比例する。顕微鏡や銀塩(アナログ)カメラでも、接近した二つの点をどの程度まで区別できるかを解像度という。また、地球観測衛星が地表面の物体をどの位細かく撮影できるかなども解像度という言葉で表す。これらで解像度の意味合いは共通である。
スキャナーやプリンターの解像度
スキャナーやプリンターはインチ当たりの画素数(dpi、ドット・パー・インチ)で解像度を表すのが一般である。スキャナーではdpiが大きいほど詳細に読み取ることができ、同じ方式のプリンターではdpiが大きいほど印字精度が高くなる。スキャナーやプリンターは絶対寸法をもつ紙媒体を対象にしているため、解像度を望遠鏡や顕微鏡と同じような意味合いで使うのだろう。
ディスプレイの解像度
スマホやタブレットのディスプレイをはじめ、電子書籍端末、パソコンなどのディスプレイは、画面の物理的なピクセル数(縦ピクセル数×横ピクセル数)を画面解像度(解像度)という。同じサイズの画面であれば解像度が大きい方が表示は詳細になるが、アナログの解像度とは意味合いが異なり、ピクセルの数を表すだけである。なお、画面のインチあたりピクセル数(ppi、ピクセル・パー・インチ)を解像度ということもあるが、ppiは画素密度という方が適切だろう。
デジタル画像ファイル
スマホで撮影したデジタル画像はJPEGで保存されることが多い。また、デジタル画像の形式としてはPNGやGIFなども普及している。これらのデジタル画像は明るさや色の情報を持った画素(ピクセルまたはドット)単位で表現する。横ピクセル数×縦ピクセル数が画像のサイズであり、これを画像解像度という。なお、JEPG画像には、画素密度(dpi)を指定でき、フォトショップのようなアプリケーションは、これを解像度と表示している。しかし、画素密度が指定されていない画像も多く、アプリケーションがdpiを常に参照するとは限らない。CSS2.1/CSS3はサイズの指定されていない画像のデフォルト表示サイズを縦・横のピクセル数で決定しており、ブラウザは画像ファイルのdpi値を参照していない。つまり、デジタル画像のdpi値は単なる設定値である。
画像の表示におけるサイズ
デジタル画像はプリンターやディスプレイに出力(表示)するときに物理的なサイズが決まる。例えば、横600ピクセル×縦1,200ピクセルの画像を600dpi設定でプリンターに出力すれば、横1インチ(2.54cm)×縦2インチ(5.08cm)の大きさとなる。また、400ppiのタブレットに表示すれば、横1.25インチ(3.17cm)×縦3インチ(7.62cm)のサイズとなる。しかし、スタイルシートなどで版面や表示領域の幅に対して画像の占める幅の比率を指定することも多く、このとき、画像は指定領域にフィットするように拡大・縮小される。
肉眼の解像度
肉眼の解像度は視力で表す。視力1.5の場合、5mの距離でランドル氏環というC字型の指標の1mmの幅を識別できる。実際に実験すると明視距離(25cm)では約360dpiまで識別できるそうである。2015年時点でスマホやタブレット画面のドット密度は400ppi程度まで達しており、そろそろスマホやタブレットの画素密度は肉眼の解像度を上回っている。
デジタルカメラやスマホの解像度
デジタルカメラ(デジカメ)やスマホは撮像素子(CCDやCMOSなど)の総画素数(縦方向の画素数×横方向の画素数)のことを解像度ということも多く、デジカメの広告には、「有効画素数約XXX万画素による圧倒的高解像度」というような文章も見かける。しかし、撮影対象をどの程度まで分解できるかは、画素数だけではなく、レンズなどの光学系や受光してから記録するまでの画像処理によっても大幅に変わる。デジカメの画素数を表す解像度は分解能のような意味合いはもたない。
[小林 徳滋 アンテナハウス株式会社 20160126]