Readiumとは
Readiumとは、WebkitをベースにしたEPUB3ビューワーを作る際の標準的なレンダリング機能と、アプリを開発するためのReadiumSDK(開発キット)。異なるEPUB3ビューワー間の表示差異をなくし、EPUB3の普及とオープンなデジタル出版プラットフォームを推進するために、IDPF(International Digital Publishing Forum)が開始したオープンソースの開発プロジェクトで、現在はReadium財団が主導。
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EPUB3仕様策定当時、早期にEPUB3を普及させるために、ビューワーベンダー各社によるレンダリングの表示や機能の差異をなくし、正しいEPUB3の表示結果を示すための見本ともいえる実装(レファレンス実装)が必要とされた。このため2013年、IDPFは非営利のReadiumプロジェクトを主導し、Google ChromeやSafariといったブラウザのレンダリングエンジンであるWebkitをベースとして、汎用的なビューワーの開発をスタートさせた。
2012年2月当時のプレスリリースによれば、このプロジェクトには、アクセス、Adobe、Barnes & Noble、Copia、Google、楽天Kobo、O’Reilly、Samsung、Sonyなどが参加した。日本からは上記の他、ボイジャー、達人出版会なども関わっていた。
Readiumに積極的に取り組み、その成果をいち早く商用化したのがアクセスのPUBLUS Readerであり、このビューワーはブックウォーカーや楽天Koboが採用することで、日本におけるEPUB3普及のきっかけとなった。
現在(2022年7月現在)は、以下のプロジェクトが推進されている。
・Readium Mobile:iOSおよびAndroidの読書アプリ専用のReadiumツールキット。
・Readiumデスクトップ:Windows、MacOS、Linuxアプリ専用のReadiumツールキット。
・Readium Web:ReadiumWebPublicationsを管理するWebアプリ専用のReadiumツールキット。
このプロジェクトのメンバーには、Bibliovault、BISG、Bluefire Productions、Bokbasen、Columbia University Library、DAISY consortium、De Marque、Dilicom、EDRLab、eKitabu、Ellibs Oy、Learning Ally、New York Public Library、Tagus Books、VitalSource Technologies、Vivlioが参加している。
メリット
Readiumは、オープンソースプロジェクトとして開発されているため、成果物は誰もが無償で利用できるというメリットがある。また、プロジェクト参加者が成果をフィードバックすることで、日々改善されている。Readiumプロジェクトのメンバーになると、様々な技術情報を入手できることから、グローバルに展開する製品やサービスの迅速な開発が可能となり、個々のシステムや機構に対するR&Dや製造コストの削減といったメリットを得ることができる。
EPUB3コンテンツは、Google Chrome拡張のReadiumビューワー(現在は、Google Chromeでのサポートは終了。代わりに「ThoriumReader」の使用を推奨している。)で正しく表示されればEPUB3準拠といえるため、レンダリング結果の標準的な検証環境として出版社や制作会社に利用されることも多い。電書協(日本電子書籍出版社協会)がまとめたEPUB3の制作ガイドラインである「電書協 EPUB 3 制作ガイド」(いわゆる電書協フォーマット)は、Readiumのレンダリング結果を参照して策定されており、EPUB3制作ガイドの一つとして広く利用されている。
[内容改訂 20220712]