でんでんコンバーターとは
でんでんコンバーターは、テキストファイル等をアップロードすると、電子書籍の標準フォーマットEPUB3に変換して出力するWebサービス。無償で利用可能。制作されたEPUBはKindleストアや楽天Kobo、iBooks Storeなどの電子書籍ストアで多くの出版実績がある。2013年2月に高瀬拓史による個人開発サービスとして公開され、同年のJEPA電子出版アワードで大賞を受賞。
もっと詳しく!
でんでんマークダウン記法で書かれたテキストファイルと画像(PNG、JPEG、GIF)、CSSファイルなどをアップロードすると、EPUBファイルに変換され、ダウンロードできる。変換されたEPUBファイルはサーバー上に保存されないため、再ダウンロードは出来ない。ユーザー登録は不要。
でんでんマークダウン記法とは、Markdown(マークダウン)という簡易マークアップ言語を拡張した記法。Markdownを利用すると文章を「#」や「*」といった記号で装飾するだけでHTMLに変換できるので、世界的に広く利用されている。この記法は、非常に読みやすく書きやすいため、HTMLに馴染みが薄い制作者でもプレーンテキストに近い形で簡単に利用できる。
出力されるEPUBは仕様に準拠した上で、各電子書籍ストアの独自拡張に配慮したものになっている。これは公開当時、電子書籍ストアごとにEPUB 3への対応が不十分な箇所があったためである。
インターフェイスは簡潔だが、豊富な設定オプションがあり、HTMLやCSSを直接指定できるため拡張性は高い。図版目次、表目次、ページリストのナビゲーションが生成できる数少ない制作ツールである。
利用例
でんでんコンバーターで制作される電子書籍は、横書きでは実用書、縦書きでは小説が中心。実用書では、ブロガーやプログラマーなどが書いたエッセイや仕事術、入門書や解説書など、小説ではアマチュア作家やプロ作家によるSF、ファンタジー、ライトノベルなどの電子書籍が制作され、Kindleストアをはじめとするセルフ・パブリッシングを扱う電子書籍ストアで出版・販売されている。
日本有数の購読者を持つ有料メールマガジンの一つ「津田大介のメディアの現場」は、カスタマイズしたでんでんコンバーターを利用してEPUBを制作している。
制限事項
でんでんコンバーターは、リフロー型のEPUB 3にのみ対応している。フィックス型(固定レイアウト型)は制作できない。アップロードできる個々のファイルのサイズ上限は3MB。また、マルチメディア(オーディオ、ビデオ)、JavaScript、フォントファイルはアップロードできない。CSSファイルは1つだけアップロード可能。脚注は各ページで1からの連番となり、任意の番号は指定できない。
関連サービス
「でんでんエディター」
でんでんエディターは、ブラウザ上でテキスト編集が可能なWebサービスであり、でんでんコンバーターの姉妹サービスという位置づけ。でんでんマークダウンをリアルタイムで確認しながら編集が可能で、ファイルをアップロードしなくても、EPUBに変換した場合の表示イメージをすぐにプレビューできる。
「でんでんランディングページ」
セルフ・パブリッシングでプロモーションを行う場合に、TwitterやFacebookといったSNSがよく活用されるが、その際に本の宣伝ページへ誘導するためにランディング・ページを用意することが有効である。このランディング・ページをTumblr上に簡単に作ることができるツールが、でんでんランディング・ページである。schema.orgに対応しているため、Google、Microsoft、Yahoo!など大手検索エンジンに本の情報を伝えることができる。スマートフォンでも読みやすいレスポンシブデザインで表示が可能。動画やオーディオファイルの設置も可能で、試し読みや購入ボタンなども用意されている。
[柳 明生/イースト株式会社/20150914]