ビューアー(リーダー)とは
電子書籍を閲覧するためのソフトウェア。通常はコンテンツを一覧する書棚機能と、ページめくり、目次、ブックマーク、文字拡大などの読書機能を備えている。PC、iOS、Androidなどの端末にインストールするアプリケーション型と、Webブラウザーがビューアー機能を備え、ストリーミングで配信される電子書籍を表示するブラウザー型がある。また、Kindleのような読書専用端末を電子書籍リーダーと呼ぶ場合がある。
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電子書籍のフォーマットはEPUB(イーパブ)をはじめとして、.book(ドットブック)、XMDFなど様々だが、ビューアーもこれらのフォーマットによって異なる。主にコンテンツを購入した電子書店から専用ビューアーを入手して利用するが、大手の電子書店が提供するビューアーは複数フォーマットに対応していることが多く、EPUBだけでなく、.book、XMDFやPDFファイルの閲覧が可能な場合もある。
ビューアーとDRM
電子書店が提供する専用のビューアーは、各サービスの特徴や優位性を出すために独自の機能を有し、また、DRM(Digital Rights Management)と言う著作権保護機能によるコンテンツの不正コピー防止が施されている。そのため、電子書店で購入したコンテンツは、その書店が提供する電子書籍ビューアーのみで読書が可能である。従って、オープンで誰もが自由に利用できるEPUBフォーマットとはいえ、実際にはコンテンツを購入した書店の専用ビューアーでないと読書できないことが多い。
一方、青空文庫のようにDRMがない電子書籍を閲覧するためのビューアーは、そのビューアーが対応しているフォーマットの電子書籍であればどのビューアーでも利用できるため、自分が作成した電子書籍やセルフパブリッシングされた作品を読む場合などにも利用される。
ビューアーとリフロー型/フィックス型
電子書籍は大きくリフロー型とフィックス型に分かれる。一般的にテキスト系の読み物は、画面サイズに合わせてテキストを最適なレイアウトに自動的に組み直して表示するリフロー型で制作され、コミックや雑誌など美しい凝ったレイアウトの書籍は、固定されたレイアウトで表示するフィックス型で制作される。
コミックなどの閲覧に特化した一部のビューアーはフィックス型のみに対応している場合があり、このようなビューアーではリフロー型のコンテンツを閲覧することはできない。
これまでの電子書籍は、小説など比較的シンプルなレイアウトや構造の書籍を対象にしてきたが、雑誌や教材・教科書といった、複雑な段組やテキストの回り込みなどを駆使したコンテンツの電子化が、現在の課題となっている。このような高度な組版の表現は、ビューアーにとっても大きな課題である。なぜなら、電子書籍フォーマットがそのような表現に対応するだけでなく、ビューアー側もそのような表現を、意図したように再現・表示する必要があるためである。
ビューアーとレンダリングエンジン
ビューアー内部でコンテンツを解釈してビジュアルに表示する機能を、一般的に「レンダリングエンジン」と呼ぶ。EPUB3フォーマットは、HTMLやCSSといったWebの標準技術を取り込んでいるため、EPUBビューアーは、SafariやGoogle ChromeなどのWebブラウザーと同じレンダリングエンジンを採用している。そのため、EPUB3は、Webと同様に多彩な表現が可能である。
[内容改訂 20220630]